CATEGORY 引退競走馬を知る

引退競走馬を知る

  • 2020.01.18

ヒアカムズザサンの現役時代を書いて

ヒアカムズザサンがこのプロジェクトに入るまでの過程を、 3回に分けて書かせていただきました。 よく〇〇界のサラブレッド、という言葉を耳にすると思いますが、 本馬も近親に、牝馬3冠馬スティルインラブを持つサラブレッドです。 走らない血統は淘汰されていく競馬界。 よく見る5代血統まで遡れば、他のサンクスホース馬でも必ず活躍馬がいます。 つまりほとんどの馬は淘汰された血をひく良血、とも言えるのです。 そんなエリート集団の中でレースに勝ち続けなければならない… それがサラブレッドの世界です。 ヒアカムズザサンも勝ち味に遅く、2着、3着が続きました。 JRAでは9月(2019年からは8月)までに1勝できなければ、 出れるレースがほぼなくなってしまうシステムです。 そのシステムに適応しない馬は競走馬としての現役生活が終わってしまいます。  しかしながら、タマモクロスのように1年前は条件馬だったのに、 とんとん拍子で勝ち,1年後には天皇賞馬を制した馬もいます。  はたまたディープスカイのように2歳でデビューし、初勝利をあげたのが6戦目の3歳の1月。その4か月後にはダービー馬、という馬もいます。 上記の2頭は未勝利期間に勝利をした馬ですが、 何かキッカケさえ掴めば、競走馬としての才能を開花させられるのがサラブレッド、だとも私は思っています。  ただ、体質が弱かったり、コース適正、早熟、晩成etc… ここぞ!という時にチャンスをつかめなかった馬のほうが多いのが現状です。 ヒアカムズザサンも正にそうだったのではないでしょうか。 そういう馬たちのセカンドキャリアのインフラが少しでも整備されてほしい、と切に願います。 今回のヒアカムズザサンの物語を通じ、中央未勝利でも、様々なドラマがある事を知って、このプロジェクトに興味を持って頂けると、幸いです。

  • 2020.01.01

ヒアカムズザサンの現役時代

 ヒアカムズザサンは、ユニオンオーナーズクラブという共同で馬を所有する一口馬主のクラブで募集をされた馬だ。募集されたのは2012年。父親は当時三冠馬オルフェ—ヴル、皐月賞馬ゴールドシップを輩出し、飛ぶ鳥を落とす勢いであったステイゴールド、母親は3冠牝馬スティルインラブの近親で名門下河辺牧場の生産馬。栗毛のダイナミックな馬体に加え、預託厩舎は同じステイゴールド産駒で 凱旋門賞2着馬ナカヤマフェスタを輩出した二ノ宮厩舎であり、当時オルフェ—ヴルも凱旋門賞挑戦を表明ており、本馬も当然期待され募集後すぐに満口になった馬であった。  その期待を背にトレーニングに励み翌年8月デビューし4着、その次のレースで2着と勝利は目前、誰もがそう思った。しかし、そこから父親ステイゴールドの愛くるしい?部分を皮肉にも受け継いでしまっていたのである。  ステイゴールドは3冠馬オルフェーヴルを筆頭に幾多のG1馬をだした名種牡馬であったが、 現役時代は勝ちきれない善戦マン。現役時代50回走って優勝7回に対し、2着3着は実に20回……あともう少しで勝てるレースが続き、 引退レースの海外香港で初めてG1レースを制した愛されキャラであったのだ。  ヒアカムズザサンはこの善戦マンの血を受け継いでしまったようで、 ここから6回連続2着、その後も3着4着3着と勝ちきれないまま未勝利戦が終了。一部競馬ファンには最強の未勝利馬と言われていた。 その後1勝馬が集うレースに参加するも結果は7着、このまま中央競馬にいても未勝利馬なのでレースに出る確率が低くなるため一度地方競馬に移籍し、勝利実績を積み、もう一度中央競馬で走る道を選ぶことにしたのだ。そしてここから、新たな才能をヒアカムが見せる事になるのであった。  地方の移籍先は園田競馬。地方でのデビュー戦はスタート直後、中団に位置したが、コーナーの手前で一気にまくって先頭に立ち、その後も気持ちよく逃げて、残り3ハロンになっても持ったままで後続とも差を広げ、最後まで追わずに初勝利をあげた。続く2戦目もスタートはいまいちであったがすぐに先団にとりつき最終コーナーではもう先頭に立ち、そのままの勢いで2連勝!!見事中央競馬への再転入を決めたのと同時にダート競馬への適性も示し、今後の競走馬人生が楽しみになったのであった。   園田競馬のダートで2連勝し、新たな一面を魅せたヒアカムズザサンは、 再び中央競馬に挑むため、調整を進めることとなった。 しかしこの頃になると脚下に気になる所がでてきて、様々な箇所に硬さなどが表れ出した。 それでもケアしつつ調整を重ね、2016年3月、栗東今野厩舎に戻ってきた。フォームの崩れが見受けられ、じっくりそこを調整し、翌月京都のダート競馬で中央復帰戦を迎えた。  鞍上は今野厩舎に移籍してから調教にも乗っており、本馬の癖を熟知している和田騎手だ。 スタートで4番手をとりそのまま先頭を射程圏内でレースを進め直線へ。 直線では1頭分空いた内のスペースに進路をとりラストスパート!! 先頭の馬と激しいたたき合いを演じたがスペースが狭くなり、うまくさばけず、手綱を緩めるシーンもあり結果は7着。 「スムーズだったら突き抜けていた。」と和田騎手もレース後コメントしており、7着と言えど1着との差は0.2秒差。 次のレースでは勝ちを意識できる内容であった。 そして自信をもって送り出した次のレースでは1番人気。中央競馬初勝利を目指したレースは 前走と同じくそつなく4番手あたりを追走。直線を向くと前に馬がいない進路が! ここがヴィクトリーロードといわんばかりにラストスパート!先頭の馬を射程圏内にとらえる。 勝ったか!と思わせたが、後ろから1頭追い込んでくる馬もいる…激しい直線の攻防。 先頭に一度はたったが後ろからの追い込みをしのぎ切れず クビ差の2着…ステイゴールドの現役時代と同じく、あと一歩のところで勝ち切れなった。 その後、リフレッシュの意味も込めて放牧に出る。放牧先で脚下の入念なケアを受け、 3か月後トレセンに戻る。翌月阪神のダート競馬で復帰を果たし、7着。 ひとたたきした後、臨んだ次のレースでは3番人気。先団やや後ろの6番手から進め、 最終コーナー手前、5番手直線ではじわじわ前との差をつめていくが、 後ろから来た馬の勢いが勝り交わされてしまう… それでも最後の最後で1番人気の馬を交わして2着!!でレースを終えた。 次走も同じ舞台で1番人気。今度こそ勝利を!とレースに挑み、 最終コーナーで最内に陣取りラストスパートで2番手まで躍り出る! 後は先頭の馬を交わすだけであったが、差は開きもせず詰まりもせず… 結局交わせぬまま最後追い込んだ馬にもゴール直前に交わされ5着。 常に上位争いをするも、勝ちきれないレースが続いてしまった… その後年明けの京都開催を目指すも動きの硬さも目立ち、 一度放牧して立て直すことに。放牧先ではネックストレッチを着用し、歩様の改善も図った。 そしてトレセンに帰ってきて福島のレースに矛先を向けた矢先、屈腱炎を発症してしまう… 屈腱炎は、昔は不治の病とされた難病で引退か現役かを迫られたが 関係者は現役を選択。リハビリをすることになった。  次のレース直前に屈腱炎を発症したヒアカムズザサンは、 治療のため競走馬リハビリテーションセンター(旧名、競走馬総合研究所常磐支所)へ移動した。 症状は思ったよりも重かったが、徐々に運動を再開、半年後にはトレッドミルなどの運動もできるようになった。 年明けからはゆっくりではあるが時計をだすまでに回復し、関西の外厩へ移動。 そこで本格的に競走馬に戻るためのトレーニングを受け2018年5月、約1年ぶりにトレセンに入厩をした。 苦節1年半、調整を経たヒアカムズザサンはついに!レースに戻ってきた!! 復帰初戦から全開!と行きたかったが得意のダート1800m戦ではなく1400m戦。 まずは次走につながるレースを、という復帰戦はスタートは5分も先手を奪えず、後方から。 残念ながら追い上げならず、結果は11着。レース後も故障はなく、まずは一安心。 次のレースは中2週空けての豊中特別。 ただレース当日は雨の不良馬場。屈腱炎になる前のレースも不良馬場だった。 レースは後方から進め、徐々に進出を開始したが、先頭集団には届かず。 しかし全盛期のようにしぶとく粘り、入着である7着入りを果たし、復活は印象付けた。 […]

  • 2019.11.17

TCCセラピーパークに行った感想。(セカンドキャリア特集)

こんにちは! 突然ですが、このブログはいつも大の競馬好きの中野氏と 競馬ビギナーの和田こと、私の2人で書いております。 といっても、私は中野氏が書いた記事の最終的なチェックを行う位なのですが…。 実際このお仕事を始めるまで競馬は未経験、 馬を見たのも子供の頃に体験乗馬で見た以来、 という馬とは全くご縁のない生活を送ってまいりました。  そんな私もこのお仕事を通して、引退馬のセカンドライフやセラピーホースに興味を持ち始めた今日この頃。 9月2日に中野氏と滋賀県栗東市のTCC Therapy Park へ取材に行って参りました!今年の5月にオープンしたばかりの新しくキレイな施設は、 すでに多数のメディアからも取り上げられている注目スポットです。 サラブリトレーニング出身のラッキーハンター、メイショウナルトのような サラブレッドだけでなく小さくて可愛いロデオもいました。 十数年ぶりに生のサラブレッドを見た私はまず、その大きさ、迫力に圧倒されました!  ですが、現役を退いた彼らの眼差しはどことなく角が取れて優しくなったように感じました。最初は恐る恐る触っていたのですが、美しい毛並みと暖かさに触れるだけで、気持ち良く、とても癒されました。  競走馬時代は早く走れる事が優秀さを測る1番の物差しだったかもしれません。 ですが、実際にTCC Therapy Parkで馬と触れ合ってみて、人を乗せたり特別な芸がなくても、存在そのものが究極の癒しである事に気がつきました。  まだまだ競馬業界や引退馬について知らない事の多い私も、このお仕事を通して、少しでも沢山の馬のセカンドライフが充実したものになる手助けができたら嬉しく思います。これからも皆さまの暖いご支援、よろしくお願い致します。

  • 2019.11.09

ラッキーハンターの履歴書

通算35戦2勝。父は有馬記念でディープインパクトに初めて土をつけドバイ、イギリス競馬でも活躍したハーツクライ。母はアメリカ血統のユメノラッキー。2013年7月28日新馬6着後、コンスタントにレースに出走。13戦し、掲示板に2回載るも中央競馬では未勝利で引退。大井競馬に移籍となる。移籍後、初戦である2014年11月大井競馬場で見事な追い込みで1着!!約半年後、2015年6月には後方から捲っていき2勝目!大井競馬に転厩後もコンスタントに走っていたが、2016年4月8日、12着のレースを最後に競走馬登録抹消。JRA在籍時の担当調教助手より乗用馬に向いているとの紹介を受け、このサンクスホースプロジェクト入りとなった。 ラッキーハンターのセカンドキャリアでの長所は、リトレーニング中にもエサやり体験などでも活躍するほどの人懐っこしさで、とにかく人に優しい馬であること。競走馬向けではなかったかもしれませんが、そこをセカンドキャリアで伸ばしていけたら、と考えてプログラムが作られました。駈歩などの練習を積み、非常に人懐こく大人しい馬であることからセラピーホースとしての活躍が期待できるようになったため、まずは岡山乗馬倶楽部にて乗馬としての経験を積みました。その後、栗東で開設される予定であったTCCセラピーパークへの転籍を目指すことになりました。乗馬に来た人にも優しい馬で、安心して乗れる子である、と評判となったラッキーハンター。レッスンにも出ているため、初心者の方からベテランまで幅広い人気を集めることになりました!!そしてTCCセラピーパークのオープンとともにお引越し。今ラッキーハンターはホースセラピーの活動を中心に活動しています。自分が訪れた時も人好きらしい優しい眼差しを向けてくれて、人を癒す暖かい性格はそのままでした。競走馬としては大成できませんでしたが、その温厚さを活かし、自らセカンドキャリアを充実させているようにも感じられました。今回のラッキーハンターのように1頭でも多くの馬に個性や資質に適したセカンドキャリアを歩んで欲しいです。そのためにしっかりとした仕組みを構築していきたいと考えております。皆様にも少しでも支援を頂き、更にその輪を広げていただけたら幸いです。

  • 2019.11.09

サラブレッドの現役時代について

今日は競走馬の現役時代についてお話します。デビューは早い馬で2歳の春から走ります。その後、競走馬としてのピークは3~6歳が一般的です。しかし、近年では7歳で天皇賞を制したオフサイドトラップ、8歳でG1を連勝したカンパニー。さらには最高齢での重賞制覇では10歳のアサカディフィート、トウカイトリックがいます。これは調教技術はもちろん、医療技術の進歩なども原因と言われています。そして日本での最高齢出走はクラベストダンサーでなんと18歳!!人間でいうと約70歳…この馬は現在も現役で2019年も現役続行を示唆されております。しかしながら、それはあくまで特別な話。地方競馬がダートメインのため、10歳くらいまで走る馬はいますが、大体の馬は8歳までには引退してます。   ちなみに、競走馬は25年以上は生きれると、言われています。 が、引退後の彼らの受け入れ先の需要と供給が一致していないのが悲しい現実…行き場を無くしてしまった多くのサラブレッドがいるため、 その平均寿命は約5歳といわれています。この20年の差に重みを感じます。現時点サラブレッドは経済動物であり、技術の進歩で現役生活を延長できても、後15年の余生を受け入れられる場所には限りがあるのです。 少しでも多くのサラブレッドが天寿をまっとうする為にも、このプロジェクトのような引退後のインフラ整備が必要となってきます。すべての馬にセカンドキャリアをは難しいかもしれませんが、どんな馬にも生きるチャンスがある、と私は信じてます。それがこのプロジェクトの意義でもあり課題であると思います。

  • 2019.11.06

サラブリトレーニングの馬が住む環境

こんにちは。今回はサラブリトレーニング中の馬がどんな環境で過ごしているのか、少しだけ!覗いてみましょう! まずは吉備高原いう名の通り、高原にある立地は眺めもとても良い感じです。 続いて厩舎の中。特別支援者の皆さまのお掃除のおかげで馬糞などの匂いもなく、快適な環境!写真は園田の絶対エース、マジックカーペットとミスターキョウエイアシュラ。ご覧の通り馬房も綺麗です。 そして調教施設と乗馬施設。こちらでリトレーニングをします! また施設にはサンクスホースの支援につながるガチャガチャもあります!なんとそこには、かの貴重な角居調教師のサインが!

  • 2019.10.28

2019年3月19日 サラブリリトレーニングセールに参加した感想

3月19日にサラブリリトレーニングセールが行われました。11頭と過去最多の上場の中、展示がスタート!展示ではサラブリリトレーニング代表の西崎氏とホースクリニシャンの宮田氏の絶妙な掛け合いで1頭1頭を紹介。馬の性格、特徴、グランドワークを披露した馬もいて、中にはブルーシートをくぐる馬も!!これには初めてセールを見た私も驚きました。また乗馬向け、セラピー向け、障がい向けとカテゴライズ別に紹介され、購買者にも選びやすいよう工夫されていました。   展示が終わり休憩をはさんでセリがスタート!セリの結果、11頭の中のハートランドシチー、ウインピアチェーレ、インターンシップの3頭が落札されました。   ハートランドシチーはセールの紹介では、胴がつまって首付きも高く、後ろ脚のけりも強いので、障がい馬向き。と紹介されていました。 現役時代には上がり3ハロン2位のタイムで掲示板にものったので、何かきっけかがあれば…と思わせた馬でした。皆で馬を共有する一口馬主の老舗クラブ、友駿HCでも募集されていたので、かつての愛馬のセカンドキャリアが決まりホッとしている人も多いはず。   ウインピアチェーレは前回のセリでは落札されず、今回の競り合いで晴れて落札されました。 本馬は現役時代は地方競馬の園田競馬で活躍。3連単で240万馬券も演出した経歴があります。前回のセリ以降リトレーニングを重ね、乗馬、障がい、ホースセラピー、どれでも対応できるようになっていました。立派に成長し、グランドワークも見せ、ブルーシートにも怖がらず対応。そんなマルチな本馬のセカンドキャリアが決まって筆者も一安心。   インターンシップは父は競馬を知らない人でも知っている3冠馬ディープインパクト!弟は重賞を2勝しG1でも常に上位人気、中距離路線を沸かしたアンビシャス、という良血馬。 非常に大人しい馬で、障がいの練習はあまりせず、体験乗馬、セラピー馬になるリトレーニングを積みました。ブルーシートにも対応でき、色んな人に愛されるキャリアを築いてほしいです。 残念ながら落札されなかった馬も、ウインピアチェーレのように再度リトレーニングを積み、次のセールではセカンドキャリアの進路が決まることを願っております。  今回主催者側の話にも、リトレーニングセールを土日やイベント時に同時開催したり、色々試行錯誤をしている最中。とあり、実際のセール結果を見ても、セカンドキャリアのインフラ整備の難しさを痛感しました。馬たち1頭1頭の特徴やメンタルの話の中には、長年競馬を見てきた筆者も全く知らない、目からうろこが出るトリビアが沢山ありました。このようなイベントの積み重ねで馬への理解を深めていく事が大事だと思います。実際、筆者も取材を重ね、イベントに参加するうちに「あっ、今度自分の好きな馬や血統の馬がでてきたら寄附をしよう。」という気持ちが湧きました。馬好きな人には様々な機会で馬と触れ合ってほしいです。そのきっかけに、このプロジェクトは正にうってつけ。寄附などで支えていただきたいです!今後とも、ぜひよろしくお願いします。

  • 2019.10.27

メイショウナルトのセカンドキャリアまでの過程を紹介します!

メイショウナルトの履歴書。 51戦7勝、通称ナルト王子。父は有馬記念でディープインパクトに初めて土をつけドバイ、イギリス競馬でも活躍したハーツクライ。母はスターぺスミツコ、弟にはUAEダービーで2着になったエピカリスがいる血統だ。 2戦目で初勝利。その次のレースではウインバリアシオンの2着。オルフェーブル世代のクラシック戦線で3歳重賞でも活躍したがクラシックに乗れず…その後3歳夏に1勝、4歳にブレイク。夏の始めに2連勝し、関ヶ原Sで2着になり、迎えた小倉記念。鞍上は武豊騎手、先行して直線前で先頭にたつとそのままゴール!見事重賞制覇を成しえた!そこからオールカマーで2着に来るも、その後は低迷… しかしながら、再び夏が来るとナルト王子は輝きを取り戻した!七夕賞では逃げてそのまま後続を寄せ付けず、復活の勝利!小倉記念でも3着、新潟記念で10着になり、サマーシリーズ2000で2位に輝いた。その後も夏になると上位争いするも、2桁着順も多くなり、2017年に障害に転向。3戦目で勝ち上がり、その後もオープン競走で2着に来るなど活躍を見せた。しかし、2018年に左前脚浅屈腱不全断裂という大怪我を負い、10歳で長い現役生活にピリオドをうち、このサンクスホースプロジェクトに参加となった。そしてファンドが成立し、メイショウナルトはTCCホースになった。セカンドキャリアの方向性は、故障個所から障害飛越など競技馬への道は難しいため、セラピーホースを目指してのリトレーニングを積んでいく方向で決まった。 速く走ることに特化した現役時代。セカンドキャリアに必要なのは「ゆっくり走ること」!そのトレーニングを進めていくこととなった。はじめは左前脚が大きく腫れて痛々しかったが、食欲旺盛で、瞳は現役時代に比べ穏やかになっていった。そして怪我も順調に回復していき、軽い運動ができるようになった。ナルト王子は優しく人懐こい、まじめな頑張り屋。スタッフによるとご飯を食べているときや集中しているときに声をかけると、ぎろっと見る。普段の穏やかな表情とのギャップが面白かった!とのことです。またクッキーをあげたら、もぐもぐ中に何回も落としてしまうエピソードも(笑)11歳の誕生日も迎え、リトレーニング中も落ち着いて運動できるようになってきました!そしてメイショウナルトは2019年5月にオープンするTCCセラピーパークでセラピーホースになる事が決定!その後もリトレーニングを続け、セカンドキャリアを築く事になった。 現在、メイショウナルトはTCCセラピーパークにて活躍中。生活は、土日は午前中からホースセラピーの活動に従事することもあり、イベントに出ることもありと、充実した毎日を過ごしている。 現役時代は夏の重賞を2勝した夏馬。そんなナルト王子は一流競走馬の気の強さをたまに見せるそうだが、自分が取材に行ったときは大人しく人懐っこかったです。このように現役からリトレーニングを経て、セカンドキャリアに就いたメイショウナルト。適性を見極め、次の場所に繋げる事をサラブリトレーニングでは重視をしています。ぜひ皆さまも、ご声援よろしくお願いいたします。

  • 2019.10.12

リトレーニングを終えセカンドキャリアを歩んでいる馬に会ってきました。

TCCセラピーパークにサラブリトレーニング出身のラッキーハンター、メイショウナルトに会いに行ってきました! TCCセラピーパークは第1戦を退いた馬達と交流ができる施設として、地元を始め、全国から沢山の方々がやってきて、現在多数のメディアからも注目されている場所です。  競馬においての良い競走馬は、もちろん早く走れる事が第1条件でした。しかしTCCセラピーパークで子供からお年寄り、様々な世代の人たちと接する彼らを見て、特別な才能だけでなく、存在自体が馬が持つ、人に対する最大の癒やしである事を実感しました。現役を引退した彼らのここでの生活が、訪れる人達、そして生活する馬達、両方にとって心身がリラックスできる素敵な時間となっていました。今はまだ新しい取り組みですが、これからもTCCセラピーパークのような場所の存在が認められ、利用者が増える事。それが、引退した多くの競走馬の平和なセカンドライフに繋がる事を期待しています。   ラッキーハンターはセラピーホースとして大活躍。メイショウナルトはイベントなどで現在活躍中です。2頭とも現役時代より穏やかになり、新しい環境でセカンドキャリアを築いています。  この2頭のセカンドキャリアまでの過程を今後ここで紹介したいと思っておりますので、乞うご期待!!

キングジュエリーが仲間入りしました。

キングジュエリーの紹介 キングジュエリー号 栗毛 騙馬 6歳(栗東:角居勝彦厩舎 ~ 名古屋:角田輝也厩舎)25戦6勝以前から痛めていた左前脚屈腱炎が再発し競走生活を引退することとなりました。 キングジュエリーは、父はリーディングサイアーに2度輝き、ロードカナロア、ルーラーシップを出し、サイアーラインも確立しているキングカメハメハ。母はアイアムジュエル。一族には皐月賞やマイルチャンピオンシップを勝ったジュニュイン、スイートピーSを勝ちオークスに出走したダイワズームなどがいる。2014年にセレクトセールで取引された馬だ。 デビューは3歳ダートの1800m戦。3番人気に支持され後方からレースを進め、直線では追い上げるも7着まで。その次のレースでは先行したが、7着。2か月後のレースでは追い込みが決まり、初めて掲示板に載る5着。その次のレースでは上がり、3位の脚で追い込むも6着。ここで未勝利レースが終わったため一度中央競馬を離れ、地方競馬の名古屋競馬に移籍。名古屋競馬でのデビュー戦は圧倒的1番人気!レースは中団から進め、向こう上面から徐々に進出。直線手前で2番手になり一気に先頭へ!!そのまま勢い衰えることなく、移籍初戦を勝利で飾った。次のレースは笠松。先頭につくとそのまま譲ることなく見事2連勝!!このレースで中央競馬の復帰要件をクリアし、再び中央競馬に返り咲いた。 中央競馬での復帰戦は2400mのダート戦。3番人気に支持され、中団からレースを進めたが徐々に後退して13着。次のレースでも10着とふるわなかった。 そして距離を短縮して挑んだ1400mのダート戦。スタートから3番手をキープして直線を迎えると、外に進みラストスパート!内で2頭がデッドヒートを繰り広げる中、そこに外から一歩ずつ近づいていき、最後捉えてゴール!見事、中央での初勝利を飾った。そして1000万クラスを1戦して500万クラスにもう一度戻った4戦目。終始逃げて直線でも抜かせず粘り込み、中央2勝目を上げた!!次の1000万クラスのレースでも2着に入り、1000万クラスでもいけるか、と思ったその後2戦連続2ケタ着順… キングジュエリーはここで中央競馬からまた名古屋競馬に活躍の場を求めていった。 名古屋復帰後は2連勝。その後も安定した成績をあげていたが、2019年、半年の休養復帰後は思うような着順に来ることが出来ず。アンドロメダ座特別で10着となったところで引退が決まった。 中央復帰後は先行して2勝し、1000万クラスでも2着に来たので何か歯車が噛み合えばともっと上のレベルで戦えると思う現役生活であった。 次のセカンドキャリアを充実したものにして欲しいと切に願っております。